編集サヴマトンカラー
04« 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 8. 9. 10. 11. 12. 13. 14. 15. 16. 17. 18. 19. 20. 21. 22. 23. 24. 25. 26. 27. 28. 29. 30. 31.»06
2010/05/27 [Thu] 00:10:04 » E d i t
「トヨタF1 最後の一年」を読んだらこっちも読まないといけないだろうと、買ったまま本棚で眠っていた「さらばホンダF1―最強軍団はなぜ自壊したのか?」(川喜田研著)を読みました。

さらば、ホンダF1―最強軍団はなぜ自壊したのか? (SHUEISHA PB SERIES)さらば、ホンダF1―最強軍団はなぜ自壊したのか? (SHUEISHA PB SERIES)
(2009/03/26)
川喜田 研

商品詳細を見る


第3期ホンダF1スタートとともに、雑誌社を辞めてホンダF1チームの”従軍記者”となった川喜田氏。その著者が抱いていたホンダへの期待が、次々と裏切られていく過程を綴った本と言っても過言ではないです。もっと言えば、第3期ホンダF1そのものをほぼ全否定しています。逆に、川喜田氏が当初抱いていたホンダ復帰への期待と希望の大きさをうかがい知ることが出来ます。もちろん、川喜田氏だけでなく栄光の第2期を知っているファンなら誰もが大きな期待を抱いていたのでしょうけど・・・。

前回と同様、この本で分かったことを箇条書きで起こしてみます。

・フルワークス参戦計画が一転、BARとのジョイントに方針転換したのは社内で二の足を踏んだ陣営の意見を汲んだ折衷案だった。ワークス参戦で準備を進めていたHRDは突然解散を迫れる結果に。
・BARとは、ポラックがビルヌーヴとの個人的関係が生み出した”チーム・ビルヌーヴ”。BAT(ブリティッシュ・アメリカン・タバコ)の資金力は素晴らしかったが、彼らは完全なドシロウトだった。
・ドシロウトと組んだホンダはBARへの不満が溜まる一方で、自慢のエンジン開発でも他チームから遅れを取る。しかし、エンジニアは性能不足を認めようとせず、02年までは戦闘力向上の兆しすら見えない。
・ホンダは車体開発に対する理解が晩年まで不足していた。ワークスチームならどこも所持している風洞設備を2006年に入ってからようやく整備したことが、そのことを如実に物語っている。
・ジェフ・ウィリス体制となった03年から成績が安定。しかし、コンサバティブなアプローチをするウィリスに対し、再びホンダが不満を感じる。株式を100%取得した06年夏にウィリスを更迭するが、このウィリスが手掛けた最後のマシンRA106が唯一の勝利を挙げることに。
・ウィリスという開発部門のリーダーを失ったホンダは再び迷走。おまけにラッキーストライクに代わるスポンサーが見つからず、「アースドリームプロジェクト」という苦肉の策に。「ホンダレーシングF1チーム」となっても、マネジメントの実態はニック・フライ率いるイギリス人チームであり、彼らにスポンサーを獲得する力はまるでなかった。
・スーパーアグリ参戦表明直前まで、ホンダは亜久里との共同チーム運営を真剣に考えていたらしい。
・ホンダはF1進出を目論む亜久里に「ミナルディを買わないか?」と提案。理由は、解雇が決まっていた琢磨のシート確保のためだったとか。

川喜田氏は、体制を何度も変えながら再出発を続けるホンダに対し、「F1参戦の意義をまるで感じられない」とバッサリと切って捨てています。さらには、近代F1においてもエンジンパワーありきの「大艦巨砲主義」が払拭できなかったと指摘。事実、エンジンサプライヤーとしてだけでなく、車体開発にも貢献してトップを目指すという当初の目標は全く達成することはできませんでした。

honda_f13ki1.jpg

結局のところ、ホンダはチームマネジメントでもマシン開発でも今のF1の時流に最後まで乗れなかったということなのでしょう。そこには第2期で成功を収めた「おごり」があったことを川喜田氏は厳しく書いています。

F1の素人だったトヨタは、ゼロからチームをスタートさせ、F1におけるマシン作りを失敗や遠回りを繰り返しながらも一から学び続けてきた印象があります。が、ホンダにはその謙虚さ、ひたむきさすらなかったということでしょうか。だとしたら、あまりにも悲しいホンダ第3期の最後です。

「ホンダスピリット」とは、失敗を恐れず挑戦し続けること。その源流にはレースを愛する心があります。川喜田氏は、そうしたホンダの古き良き伝統、ブランドイメージが現場では重荷になっていたのではないかと危惧しています。表向きはレースが好きだからレースをしているように見えて、実は会社の仕事のように淡々と取り組んでいたのだとしたら・・・?そこには新たな挑戦も創造もありません。

ホンダの決断を待っていたかのように、モータースポーツ業界からは次々と日本の自動車メーカーが撤退していきました。ホンダの体質や精神が、この十数年の間にどれほど変わったのかは正直分かりません。しかし、川喜田氏が本書で指摘するように、ホンダからかつての「ホンダスピリット」が消えてしまっているのだとしたら、日本の自動車レース業界は、いつの間にか”リーダー”不在の状態に陥っていると言えるでしょう。

photo by yunick'08

テーマ:F1全般 - ジャンル:車・バイク

コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
http://submatoncolor.blog61.fc2.com/tb.php/364-8f76e164
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック